2009年10月27日火曜日

秋晴れのある日、近所を散策

ふるま家から車で5分(約4キロ)ほど走った国道173号線沿いに「大原神社」(京都府指定文化財)があります。雲ひとつない澄み切った青空が広がる秋晴れのある日、父と二人でふらりと散歩してきました。

古くは仁寿2年(852年)までさかのぼると言われる長い歴史を持つその神社には、「伊邪那美命(いざなみのみこと)、天照大日霎命(あまてらすおおひるめのみこと)、月読命(つきよみのみこと)」の3つの神様が祭られています。古事記によると、伊邪那美命は万物を作った女神とされていることもあって五穀豊穣と安産の神様として長く崇められ、今でも多くの人が安産祈願に参拝にお参りに訪れているそうです。 参考資料:「ふるさと三和の文化財」、京都神社庁ウェブサイト http://www.kyoto-jinjacho.or.jp/shrine/24/040/)


訪れたときは、ちょうど茅葺の絵馬殿が、茅の吹き替え作業の真っ最中でした。






神社の前を流れる清流沿いには産屋がたっています。入り口には魔よけの鎌、中には出産時に産婦が力むために使ったと思われる縄が天井から垂れ下がっていました。ここの産屋は大正初期まで実際に使われていたそうで、臨月を迎えた妊婦はここに丸7日間篭り出産したのだとか。出産は不浄とされていたかつての時代の名残は、「大原の産屋」として今でも大切に保存されています。




神社のまわりは黄金色に実った稲穂が頭を垂れ、秋の優しい日差しと相まって何とも言えない暖かな雰囲気を醸し出しています。中途半端な郊外に生まれ育った身にも郷愁を感じさせるこんな日本の原風景、これからも大切にしていかなければなりません。(ただ、実際こういう田舎に定住するとなると色々な苦労が待ち構えているのだろうけれど。)



2009年10月17日土曜日

新米を、いただく


36年の人生において初めて、自分の田圃から収穫したお米をいただきました。

今年は代掻き、田植えから、稲刈り、脱穀まですべて地元の農業法人さんに丸投げしたため「手塩にかけて育てた米」というわけではないけれど、品種はコシヒカリ、しかも新米。これで不味いわけがない!最近日本でも食の安全について消費者の意識が高まりつつあるようですが、農薬はほとんど使われていないことは一応生産者として分かっているのでその点も安心していただけます。

自分で食べるものを自分で作る・育てる・穫る-生きていく上で最も基本であるべき事が、お金を払えば何だって手に入ってしまう現代社会に生きる私達多くの人間にとってはかなり縁遠い世界となってしまってます。(言い換えれば、大多数の人にとって食の生産は全てアウトソース化しまっていて、これはある意味非常に不安定でしかもリスクが高い。尤も、国全体で見れば日本の食糧自給率は40%と他の先進国と比較してもかなり低く、国を挙げて自給率を高める努力が必要なわけで-とまあ、私がいまさら言うまでもない話ですが。新政権になって少しは変化の兆しが見えてくるのかどうか。)

これまで何気なく口にしていた米。太陽、水、その他自然の恵みをたっぷり受けて育った銀シャリを、この日だけは一口一口感謝しながら美味しくいただきました。

ごちそうさまでした。合掌。

2009年10月16日金曜日

第一期修復工事始まる

3ヶ月もの長期間欧州で遊び呆けていた家主の帰国を待たずに、先週月曜日から母屋の基礎部分の補強工事と水道・配水管の配管工事が始まりました。今回の第一期工事は、「この家は文化財だから、ワシが死んでからもこの先少なくとも100年、いや200年は持たせなければならない」と常々話していた父の支援を受けて実現可能となったもの。両親の理解に感謝感激一塩です。

母屋を支える基礎の部分は、まず土や石などが完全に取り除かれた後、砂利、鉄筋、地中からの湿気で家が傷むことがないようプラスチックシートが敷かれ、その上に全面的に厚さ10cm以上のコンクリートが打たれました。




コンクリート打ち終了後、施工主である父が母屋の一角に名と日付を刻みました。


100年後、父も私たちもこの世からは確実に消え去っていますが、今後誰がこの家を継ぎ、この署名を目にすることになるのでしょう。自分が存在しない、そんな先の未来に思いを馳せることもまた楽しいものです。

2009年10月15日木曜日

新ブログ、開設のご挨拶

日本の田舎で貨幣経済から少しでも独立した自給自足に近い暮らしをしたいというかねてからの夢を実現させる一歩として、今年4月、京都府福知山市三和町上川合に茅葺屋根の古民家(通称「ふるま家*」)を購入しました。150年以上の時と歴史を刻み、数々の悲喜交々、人間模様を見守ってきたであろう古民家は、悠久の時の流れを感じさせる、何を思わずともふと手を合わせたくなるようなそんな雰囲気に満ち溢れています。

素朴で美しい京の里山と、そんな心落ち着かせる空間を世界中の人に紹介し、共に時間を共有したいという思いから、来年から農家民宿を開業する決意に至りました。(開業目標日は未定)

日本では住宅の寿命というと長くて30~40年、とかく新しいものが好まれる傾向にあるように思いますが、一方で古い民家を再生して活用していく動きは静かなブームになっているようですね。私が今回購入した古民家も、修復して次の世代に引き継いでゆくべき大切な文化財でもあり、再生の過程を記録として残していくことはそれなりに意義のあることかと思います。そういうわけで、このブログでは古民家再生の様子と農家民宿開業に至るまでの、これから直面していくであろう紆余曲折を写真付きで記録として(田舎暮らしを始めていく中での雑感、由無し事なども合わせて)綴っていこうと思います。

宜しくお願い致します。

(*「ふるま家」という“家”号は、1年半前、世界旅行中に滞在したネパールで現地の人からもらったネパール名前が由来です。)